※以下は、A5版16ページで作成した「小金井市政FOLIO/Vol.1」のテキストをHP向けに転載したものです。
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大久保市長が「リース庁舎」計画を提案
市民は猛反発、市議会は反対請願を採択 昭和が終わり、元号が「平成」になった頃、小金井市の市庁舎問題の混乱が始まりました。以降、今日まで「出口」が見えておりません。
市職員出身の大久保市長が、民間が建設するオフィスビルをリース契約で借り上げ、市役所本庁舎にすると提案したのが、混乱の始まりです。 「床面積1万2000u(総合庁舎に必要とされる床面積)。30年間のリース契約」というのが提案の内容でした。 その提案に対して、保守系を含む多くの市民が「特定地主との癒着だ」「ムダ遣いだ」と強く反発。反対運動は燎原の火のごとく拡大していきました。当時、私は中央大学法学部に通う平凡な一大学生でしたが、大騒ぎになっていたことは良く記憶しています。
すでに引退した革新系の市議会議員さんに聞いた話では、その議員さんの所に「リース庁舎計画に賛成してくれるなら現金を渡す」と申し入れてきた人物もいたそうです(当然、受け取らず)。なんとも怪しい話です。
その後、市議会は、30年リース庁舎計画に反対する請願書を採択。大久保市長は30年リース庁舎計画を断念しました。
しかし、その断念は「死んだふり」だったことが、後に明らかになりました(→3ページ「大久保ビルを賃借」参照)。 蛇の目ミシン工場跡地を 130 億円で買収
念願の庁舎建設予定地を確保
蛇の目ミシン工場跡地(中町3丁目)は、平成4年9月10日、小金井市が利息を含めて130億6008万7226円で売買契約を締結して買収し、庁舎建設予定地としました。
当時、私は、就職した新聞社を退職して、国会議員の秘書を務めていました。 当時(も今も)小金井市は市庁舎が分散庁舎状態でした。また、木造庁舎は老朽化が著しく、新庁舎の建設が重要課題になっていましたので、東西でも南北でも、ほぼ市域の中心に位置し、「二度と出ない好地」である蛇の目ミシン工場跡地の売却話は、小金井市にとって非常に好都合な話でした。市議会は全会一致で買収を承認しました。 ただし、高額人件費地獄にあえぐ財政難の小金井市が蛇の目ミシン工場跡地のすべてを買収することは不可能でしたので、北半分を小金井市が買収し、南半分は東京都(住宅供給公社)がトミンハイム用地として買収することになりました(緑中央通り(3・ . 4・12号線)の西側にある蛇の目ミシン社屋跡地は、野村不動産が取得し、大型マンション「エアーズシティ」を分譲しました)。
蛇の目ミシン工場跡地の取得費の支払いは、平成4年度から平成23年度まで続きました(平成4年度は庁舎建設基金のほとんどを取り崩して、頭金として40億円支払っています)。ここで、資料1( P14 )を御覧ください。最終的には、利息を含めると総額で119億8489万8410円(金利の関係で当初より減)を支払ったことになります。
※参考=現在の蛇の目ミシン工場跡地の価格は、平成27年の路線価(29万5000円/u)を参考に概算すると、約39億円程度だと試算されます。119億円で買ったものが39億円・・・苦しい時に無理して購入した貴重な敷地ということです。売り払って現金に代えてしまったら、差損が 80 億円も生じ、究極のムダ遣いになってしまいます。 大久保市長が大久保ビルを賃借。
第二庁舎にする
大久保市長は、蛇の目ミシン工場跡地を購入したにもかかわらず、そこへの庁舎建設を進めず、ふたたび「リース庁舎」計画を提案しました。やはり「死んだふり」だったのです。
前回との違いは、床面積を半分の6000u、賃借期間を3分の1の10年間にするというものでした。これは、反対派の市議を賛成に寝返らせるための「方便」だと分析されています 30年リース庁舎計画に反対する請願に賛成した議員のうち数名が「容認」に転じ、大久保市長は賃借契約の予約契約を締結しました。
その後、平成5年の市議選で、私は市議会議員に初当選しました。最大の争点が「第二庁舎の賃借の是非」でした。
多くの市民が強く反発する中、大久保市長は平成6年1月から「小金井大久保ビル」を賃借し、第二庁舎としました。
大久保市長は、すぐに蛇の目ミシン工場跡地に建設しない理由について、いわゆる「3点セット」を市報で説明していました。
「3点セット」とは・・・
( 1 )蛇の目ミシン工場跡地の買収に、積み立てていた庁舎建設基金を使ってしまったので、今後10年間、毎年4億円ずつ基金を積み直す。
( 2 )蛇の目ミシン工場跡地の西側道路は狭隘で工事車両の通過は困難である。したがって先に道路拡幅を済ませる。
( 3 )蛇の目ミシン工場跡地は準工業地域で容積率は 200 %である。直近の見直しで容積率を引き上げて土地の有効活用を図る。
平成6年から平成26年までの第二庁舎の賃料(駐車場含む)と共益費の支払い状況は、資料2( P15 )の通りで、総額73億8247万4073円です。その後、本年度(平成27年度)も支払いは続いています。
第二庁舎は、「リース庁舎」とも呼ばれますが、それは正しくありません。リース契約ではなく、普通の賃貸借契約だからです。「賃借庁舎」というのが正確です。
リース契約ならば、リース期間満了時点で、建物を市が無償で取得するということもあり得ますが、賃貸借契約ではそういうことにはなりません。
現に、昨年9月、稲葉市長が提案し、撤回した「第二庁舎買い取り議案」は、一切の割引もなく時価で購入する内容でした。
私は新人議員の頃、市長の支持者たちから「第二庁舎は、いずれ無料同然で市のものになる」と聞かされておりました。彼らも「誰かに」だまされていたのでしょう。 高額賃料の支払いを20年以上続けて、最終的に時価で買い取るとなれば、地主さんは大喜びだと思います。
第二庁舎の「呼称」問題は大変重要ですので、ぜひご留意ください。
平成4年に買収したまま、市庁舎の建設が進まない蛇の目ミシン工場跡地
大久保市長、「3点セット」の約束を守らず
大久保市長は、蛇の目ミシン工場跡地に関する「3点セット」の約束を反故(ほご)にしました。まさに、舌の根も乾かないうち・・・でした。
庁舎建設基金の積み立ては、第二庁舎を賃借した平成6年から中止。西側道路の拡幅は後回し(今日時点でも完全には出来上がっていません。工事中です)。容積率の引き上げも見送り(今日時点でも 200 %)。
つまり「3点セット」は、第二庁舎の賃借を強行するための、一時しのぎの「言い訳」「目くらまし」だったのです。 市民から「『市報こがねい』は信用できない」との批判が出たのも当然のことでした。嘆かわしい話です。
結局、大久保市長は、蛇の目ミシン工場跡地に市庁舎建てる準備をすることなく3期12年で引退しました。 稲葉市長が登場。
駅前再開発ビル市庁舎を計画
平成11年に、市長は大久保氏から、その後継指名を受けた稲葉氏に交代となりました。
稲葉氏は、クリーニング店等を経営するかたわら自民党系会派の市議を4期14年務めてきた人物で、その経営手腕はまったく未知数でした。 稲葉市長は就任の翌年に、「駅前再開発ビル市庁舎計画」を発表しました。武蔵小金井駅南口の再開発計画に市庁舎建設を組み込もうという計画でした。
当時(も今も)、第二庁舎の賃借状態からの脱却が強く求められており、例えば市有財産である公会堂用地(現在のイトーヨーカドー敷地の一部)を活用して庁舎建設を図るというなら、それはそれで検討に値する内容ではありました。しかし、稲葉市長は、まったく異なることを考えていたことが徐々に明らかになりました。
その後、稲葉プランには、実に92億円もの巨額の経費がかかる他、市有地ゼロのエリアの再開発なので、庁舎を無償で取得できる権利床で確保することは不可能であり、その費用を蛇の目ミシン工場跡地の売却で捻出しようとしていることが判明しました。
当時の市議会は、「駅前再開発ビル市庁舎はムダ遣いであり、当初計画通り蛇の目ミシン工場跡地に建てるべきだ」との議員が多数を占めており、二回にわたって稲葉プランへの反対を決議しました。 しかし、稲葉市長は、市議会の二回にわたる反対決議を無視し続けました。
蛇の目ミシン工場跡地が、
突然「新焼却場候補地」に
平成19年1月、稲葉市長は、新焼却場の建設場所として、「蛇の目ミシン工場跡地」「二枚橋焼却場跡地」の2か所を候補地として行政決定し、市民検討委員会に諮問しました。売り払って「駅前再開発ビル市庁舎」の財源にすると言ってみたり、今度は一転して焼却場を建てると言ってみたり、あまりにも場当たりで無責任な提案に、多くの市民や市議会議員が驚き呆れました。
そのような「寝耳に水」の事態を受け、周辺住民は「蛇の目跡地周辺の環境を良くする会」を組織し、継続的に市政監視活動を展開しました。私も理事の一人となりました。
市民検討委員会は紆余曲折の末、苦渋の判断として「二枚橋焼却場跡地」を答申。稲葉市長は、答申を尊重して「二枚橋焼却場跡地」を行政決定しましたが、同跡地は、小金井市、府中市、調布市で三等分され、調布市が小金井市への譲渡を認めなかったため、この行政決定は事実上「実現不可能」な行政決定となりました。いったい「行政決定」とはかくも軽いものなのか・・・誰もが疑問に思いました。 住民投票の実施を求める
直接請求 1 万人署名
自民・公明・民主などの反対で
1 票差で否決
平成20年には、武蔵小金井駅南口「第2地区」再開発計画が蠢 ( うごめ ) き始めました。「駅前再開発ビル市役所計画」に反対する市民と議員が、「駅前庁舎の是非を問う住民投票を実現する会」を約500人で組織し、直接請求署名運動を展開しました。私も役員の一人になりました。「蛇の目跡地周辺の環境を良くする会」もこの運動に全面的に協力しました。 この問題への市民の関心は非常に高く、署名総数は有権者の一割にあたる1万人を優に超えました。
しかし、自民党・公明党・民主党など稲葉市長の与党が多数を占める市議会は、反対多数(1票差)で直接請求された住民投票条例案を否決しました。 その後、市議会は、議員提案で、「有権者の13%以上が署名した場合、市長にも議会にも拒否権を与えず、必ず住民投票を実施する」という全国的にも例のない条例を制定しました(当初は10%で可決されましたが、稲葉市長が可決への拒否権を行使。与野党調整で13%となったもの)。 条例案は、10%条例も、13%条例も私が起草したもので、可決成立できて良かったと思っています。とりわけ与党を代表して私との調整にあたっていただいた鈴木洋子議員(公明党)にはこの場をお借りして改めて感謝申し上げたいと思います。
平成21年の市議選では、そのような経過が影響し、稲葉市長の与党は、現職3議員(うち自民党2議員)が落選するなど、大敗を喫しました。 市民パワー、ついに勝利。
稲葉市長、駅前再開発ビル市庁舎を断念
蛇の目跡地、再び建設予定地に
直接請求署名運動の市民パワー、新たな住民投票条例の制定、市長与党の大敗で追い詰められた稲葉市長は、「駅前再開発ビル市庁舎計画」の見直しを迫られ、市民 1 万人アンケートを実施しました。
そこで示された民意は、予想されたとおり、圧倒的多数が「蛇の目ミシン工場跡地への市庁舎建設」でした。
それを受けて、市民参加の検討委員会は「蛇の目ミシン工場跡地への建設」を骨子とする基本構想・基本計画を稲葉市長に答申しました。
稲葉市長は答申を尊重して「駅前再開発ビル市庁舎計画」を撤回し、「蛇の目ミシン工場跡地への市庁舎建設」を骨子とする基本構想・基本計画を行政決定しました。ところが、これがまた「死んだふり」だったのです(→9ページ「買い取り提案、撤回」参照)。 新焼却場候補地巡り、
不可解な出来事も・・・
平成22年、府中自動車試験場の西隣にある大和自動車教習所の所有者が小金井市に敷地買い取りを打診していたにもかかわらず、稲葉市長が、市民にも議会にも、その情報を隠していたことが発覚しました。私の委員会質疑で発覚したものです。大和自動車教習所は二枚橋焼却場跡地よりも広大な面積で、公有地拡大法に基づき、市に「優先購入権(先買い権)」がありましたが、稲葉市長は、市民にも議会にも一切相談せず、購入を見送っていたのです。
周辺にマンションが林立している蛇の目ミシン工場跡地を新焼却場建設候補地に挙げたり、実現不可能な二枚橋焼却場跡地を行政決定したりしてきた経過から考えて、非常に不可解な対応でしたが、今日から振り返れば、その時点で、すでに稲葉市長は、自助努力での可燃ごみ処理問題の解決(焼却場建設敷地の確保)を放棄し、「市内に焼却場は確保せず、どこかの市のお世話になろう」と考えていたものと推察されます。
この時点では、国分寺市に対する「小金井市の責任で焼却場用地を確保し、将来は2市で共同処理」という約束は生きていましたので、「二枚橋」ならぬ「二枚舌」の信義則違反行政が行われていたことになります。
今日、日野市さんの多大なるご努力で、日野市・国分寺市・小金井市の3市共同処理が動き出しており、私もそれを推進する立場ですが、そこに至るまでの稲葉市政の不誠実な在り方については、記憶にとどめておく必要があると思っています。 佐藤市長が登場 新庁舎建設方針、
ごみ問題の混乱で実現せず
平成23年4月の市長選で稲葉市長を破った佐藤市長は、第二庁舎の賃借契約の更新をしないで、蛇の目ミシン工場跡地に市庁舎を建設する方針を打ち出しましたが、就任当初から、「ムダ遣い」との選挙公約の表現に起因する可燃ごみ処理を巡る混乱が勃発 ( ぼっぱつ ) 。その対応に忙殺され、在職半年で辞職に追い込まれ、新庁舎建設方針は実現しませんでした。
私は、佐藤市長の与党議員ではありませんでしたが、庁舎問題に関する佐藤市長の方針は支持していましたので、実現しなかったことは大変残念に思っています。 帰ってきた稲葉市長。
さっそく基金積み立てをさぼる
佐藤市長の辞職を受け、平成23年12月に復帰した稲葉市長は、やはり・・・というべきか、庁舎建設基金の計画的な積み立てを怠りました。 資料1及び資料2にあります通り、平成23年度までは、第二庁舎の賃料等の支払いと蛇の目ミシン工場跡地のローン支払いは並行していました。蛇の目ミシン工場跡地のローン支払いが平成23年度に終わりましたので、平成24年度からは、ローン支払いの単年度相当額である概ね3億5000万円ほどは庁舎建設基金に積み立てられたはずです。しかし、稲葉市長はそうしませんでした。それは、「平成26年9月」への伏線だったのです。
稲葉市長は「財源がないから庁舎が建たない」と言っていますが、それは無計画な財政運営で自ら演出した「状況」であることが一目瞭然です。 庁舎建設の遅れは意図的に演出されているわけです。 稲葉市長、
突然に第二庁舎買い取りを提案、撤回
「財政効果」は虚偽説明の可能性
平成26年9月、稲葉市長は、市民にも議会にも知らせないまま極秘に裏交渉を進め、蛇の目ミシン工場跡地への建設を15年先送りし、第二庁舎(小金井大久保ビル)を所有者である大久保氏から買い取るとの方針を突然表明しました。
市民参加で確定している基本構想・基本計画に真っ向から反する提案であり、市民へのクーデターです。怒った市民は「市庁舎問題市民連絡会」を組織、本庁舎前で抗議活動を展開しました。
稲葉市長は、買い取りは「18億円(年約1億円)の財政効果があり、それを庁舎建設基金として積み立てていく」と市議会に説明しました。 しかし、私など複数の野党市議の調査及び試算により、本庁舎の耐震補強等が必要だと仮定した場合、そのような財政効果は出ず、逆に税金からの持ち出しが増えることが判明しました。それでは「基金の積み立て」など絵に描いた餅になります。全く実現性がありません。
稲葉市長は、そのような野党市議の追及に対して満足な説明ができませんでした。あまりの迷走ぶりに呆れた篠原議長(与党系)が、市長に対して買い取り議案の「撤回」を進言。市長は議案を撤回しました。
なお、この一件で稲葉市長と上原副市長の間に深刻な亀裂が生じ、直後に副市長が辞職するという出来事もありました。 市役所本庁舎。耐震強度不足が判明
首都直下地震も懸念される中、
新庁舎の確保が急務
平成27年10月の市議会決算特別委員会開催中に、稲葉市長は、市役所本庁舎の耐震調査結果を公表しました。
本庁舎や防災センターに求められる耐震強度は「IS値0 . 9以上」ですが、1階、2階、3階がその値を満たしていないことが分かりました(下層階が危ないのですから4階も危険です)。現在の本庁舎には、市長室、議会、企画財政部、総務部に加え、一階に防災センターに準ずる機能が入居しています。
市役所本庁舎の耐震調査の結果。「NG」とあるのが耐震強度不足のフロア。
なお、「Y方向」とあるのは、東西方向を示す。
耐震調査の結果により、前年9月の稲葉市長の「財政効果」説明が虚偽である疑いが強まっています。
15年どころか、それ以上、あるいは半永久的に蛇の目ミシン工場跡地への市庁舎建設を先送りする意図があったものと推察されます。
前述の「3点セット」の話でも明らかなとおり、大久保−稲葉市政は、庁舎問題については、市民や議会に虚偽の説明をしてもいい・・・という伝統があるようです。
なお、この決算特別委員会における私の追及に対して、稲葉市長は、第二庁舎買い取り提案は間違った判断だったとの反省の弁は述べず、責任を議会に押し付ける答弁に終始しました。「財政効果」の説明を求められたにもかかわらず、まったく説明ができず、「撤回」に逃げ込んでおきながら、今になって、自分は悪くないでは、「見苦しい」の一言です。
耐震調査の結果、本庁舎及び防災センターとしての強度が不足していることが判明した市役所本庁舎(本町6丁目)
稲葉市長、
12 月の市長選に不出馬宣言、引退へ。
次の市長の下で、
どうなる蛇の目ミシン工場跡地 現在、蛇の目ミシン工場跡地は、基本構想上も、基本計画上も、庁舎建設予定地として位置づけられています(現時点では、行政決定に変更はありません)。
稲葉市長は、蛇の目ミシン工場跡地への市庁舎建設に向けて「あらゆる方策」を検討するとしていますが、今日時点で、具体的な方策を打ち出していません。知恵がないというよりも、蛇の目ミシン工場跡地への建設を先送りすることを意図しての無責任な対応だと私は思います。あるいは、第二庁舎買い取りの再提案を狙っての「時間稼ぎ」と見ることもできます。
なお、稲葉市長は、去る10月5日、次期市長選(12月13日投票)には出馬しない旨を表明しました。その記者会見で、稲葉市長は、残り少ない任期の中で、市庁舎問題に関して、何らかの方策を打ち出す可能性に言及しています。辞めていく市長が最後に何を言い出すのでしょうか?。余計な「置き土産」はきっぱりと拒絶する必要があります。
11月に行われる稲葉市長にとって最後の定例議会において、何らかの提案があるかもしれません。引き続き、監視を続ける必要があります。 また、稲葉市長の引退で、誰がなるかは別にして市長が交代することは確実な情勢となりました。「蛇の目ミシン工場跡地への建設」が成るかどうか、「解決」などという単なるスローガンではなく、それを実現する具体的スケジュールと方策を持ち合わせているか、がポイントです。蛇の目ミシン工場跡地にとって、非常に重大な節目となりますので、アンテナを高くして、よく各立候補予定者の政策を分析する必要があります。
稲葉市長が昨年 9 月に第二庁舎買い取りを提案した際、「蛇の目ミシン工場跡地への市庁舎建設のため」と言い訳していた点に留意しておく必要があります。たとえば「蛇の目ミシン工場跡地に市庁舎建設」と政策スローガンを掲げていても、実は「第二庁舎買い取り」も考えている立候補予定者(つまり稲葉市長路線)である可能性もあります。その場合、蛇の目ミシン工場跡地への建設は先送りもしくは不可能になる懸念があります。掲げている政策と実際にやろうとしていることが正反対の立候補予定者がいる可能性もあるわけです。
したがって、立候補予定者が発信する、本音を隠した建前だけの政策だけで判断するのは危険であり、蛇の目ミシン工場跡地の取り扱いのみならず、第二庁舎をどうするのかも含めて、市民主体で立候補予定者アンケートなどを実施して、細かく政策の中身を検証する必要があると思います。 12 月 13 日投票の小金井市長選が、「解決の 12 月」になるのか、「さらなる混乱が始まる 12 月」になるのか。それを決めるのは有権者の皆さんの判断です。 渡辺大三の政策
混乱に完全にピリオドを打つ!!
福祉会館問題の解決も同時に図る
以上のように、小金井市における市庁舎問題の混乱は、すでに四半世紀を超えています。混乱の原因がどこにあるかは、すでにお分かりいただけたように「行政の無計画性」「虚偽の説明」「死んだふり」「第二庁舎を巡る癒着構造」にあります。
私は、それにピリオドを打ちたいと思い、以下の政策を提案しております。この政策が実現すれば、市庁舎問題は、完全にすっきりと解決しますし、財政難の中で新たな課題となっている福祉会館の建て替えも市民負担が少ない形で実現できます。
【1】 蛇の目ミシン工場跡地への市庁舎建設を最短距離で実現する。具体的には第二庁舎の賃借契約のさらなる延長をしないで済むスケジュール、もしくはごくわずかな延長で済むスケジュールで新庁舎を確保する。
【2】 財政状態を考慮し、新庁舎の床面積は、概ね8700uを最低限として、財政上可能な面積とする。※8700uの根拠=現在の本庁舎の床面積約2700u+現在の第二庁舎の床面積6000u。蛇の目ミシン工場跡地北側に隣接するJR中央線の高架下スペースは、市としてJRから借上げ、庁舎用の駐車場や駐輪場として活用するか、もしくは簡易な建築物を建てて、市庁舎の一部(文書・備品収納スペース/会議室等)として使用する(約1500uの床面積の建物が建設可能。8700uからその分を差し引き、さらに建築コストを圧縮することも検討)。
【3】 新庁舎建設基本計画は約1万2000uの床面積が必要であるとの試算を出しているので、不足する面積は、財政状態を考慮しながら、後年度に改めて整備する。将来の建て増しを想定して上手く接続できるようなレイアウトにしておく。
【4】 新庁舎が完成した時点で、第二庁舎(賃借庁舎)は所有者に返還する。庁舎以外の用途で買ったり、借り続けたりすることはしない。「腐れ縁」はきっぱりと断ち切る。保証金の返還を受けられるので、新庁舎建設費用の支払いに充てる。解消できる賃料支払い分も新庁舎建設費用の支払いに充てる。
【5】 現在、同一敷地内にある本庁舎、西庁舎、旧消防署は解体し、跡地は売却する。売却益は新庁舎建設費用の支払いに充てる。
【6】 建て替えが急がれる福祉会館については、以下の2つのうち、いずれかの方法で整備する。いずれも、稲葉市長の提案に比べて、最終的に市民の費用負担が少なくて済む方法である。
1 蛇の目ミシン工場跡地に、新庁舎と一体で整備し、建築費を圧縮する。第二庁舎北駐車場用地+本町暫定庁舎用地は6億円で売却し、売却益は新庁舎建設費用の支払いに充てる。
2 第二庁舎北駐車場用地+本町暫定庁舎用地を活用し、西側に隣接している耐震強度不足の老朽マンションの敷地も合わせて新規建物を建て、一部を福祉会館、一部をマンションとする。
資料1
厳しい財政状態の中、蛇の目ミシン工場跡地(庁舎建設予定地)の購入に要した経費 総額119億8489万円
資料2
第二庁舎(賃借庁舎)の建物賃料、駐車場賃料、維持管理に要した経費(昨年度までの累計) 総額73億8247万円 |